ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シニョレ」の意味・わかりやすい解説
シニョレ
Signoret, Simone
[没]1985.9.30. フランス,ウール
フランスの女優。本名 Simone Kaminker。身をもちくずした恋愛映画のヒロインや,頑固な老婦人の役で知られる。世間を騒がせた俳優イブ・モンタンとの結婚,夫婦そろっての左派政策の擁護運動などで物議をかもした。ドイツで生まれ,2歳からはパリ郊外のヌイイシュルセーヌで育った。10代の頃から左派芸術家や知識人のたまり場として有名なカフェ・ド・フロールに通い始め,作家のジャック・プレベール,のちに夫となる映画監督のイブ・アレグレらと親交を結び,女優になることを決心した。父親がユダヤ人だったため,ナチス占領下のフランスでは労働許可を得ることができず,母親の旧姓シニョレを芸名に使った。第2次世界大戦終結後,売春婦や失恋した若い女性などの役で主役を演じるようになった。1949年にモンタンと出会うと,まもなくアレグレと離婚。1951年にモンタンと再婚したのちは,女優業を控えるようになった。その後のおもな出演作は,ジャック・ベッケル監督の『肉体の冠』Casque d'or(1952),アンリ=ジョルジュ・クルーゾ監督の『悪魔のような女』Les Diaboliques(1955)など。『年上の女』Room at the Top(1958)では,恋に破れた年上の女性を知的で官能的に演じて国際的スターの地位を確立。アカデミー賞主演女優賞,イギリス・アカデミー賞 BAFTAなど数多くの賞に輝いた。
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