シマアラシウツボ(読み)しまあらしうつぼ(その他表記)barred moray

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シマアラシウツボ」の意味・わかりやすい解説

シマアラシウツボ
しまあらしうつぼ / 縞嵐鱓
barred moray
[学] Echidna polyzona

硬骨魚綱ウナギ目ウツボ科に属する海水魚。八丈島、高知県柏島(かしわじま)、屋久島(やくしま)、南鳥島、南西諸島などのほかに、台湾南部・東北部、紅海、ハワイ、中部太平洋の諸島、アフリカ東岸、グレート・バリア・リーフなどインド洋・太平洋に広く分布する。体は普通に伸長したウツボで、全長肛門(こうもん)部での体高の12~20倍。脊椎骨(せきついこつ)数は119~126。目は吻端(ふんたん)よりも口裂の後端により近い。吻は短くて鈍い。前鼻孔(ぜんびこう)は管状で吻端にある。後鼻孔は目の前半部の上方に開き、その縁辺は鋸歯(きょし)状に隆起する。上下両顎歯(りょうがくし)は短くてじょうぶか、または臼歯(きゅうし)状。多くの列をなして並ぶが、歯数の変異は大きい。前上顎骨板には5列の歯が不規則に並び、左右の外列にはそれぞれ5~10本の頑丈なとがった歯、その内側の列には2~4本のより大きいじょうぶな歯、中央列には同じような3本の歯が並ぶ。大きな雄では前上顎骨板には1列のじょうぶな歯があるが、中央列の歯がない。主上顎骨は非常に短くて、内側の列には2~10本、外列には6~13本の小さくて短い歯が並ぶ。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)には多くの大きい平たい臼歯状の歯が2~7列あり、成長に伴って列数が増える。下顎は短くて曲がり、丸い臼歯が2列またはそれ以上の列に並ぶ。内列には11~12本の歯と、外列には小さい個体では短い4~12本の歯が2列に、大きな個体では14~26本の歯が後方で3~4列に並ぶ。背びれ起部は上顎後縁上方よりも鰓孔(さいこう)の上方に近い。体色は成長によって変化する。小さい個体では淡褐色で、25~26の暗色横帯が体全体に並ぶ。横帯の幅はそれらの間隔幅よりも広い。大きな個体では尾端に横帯が見られるが、体の大部分褐色のまだら模様になる。体の大きさにかかわらず、口角部の明瞭(めいりょう)な暗色斑(はん)と下顎の細長い斑点が残る。体長は最大で72センチメートルになる。サンゴ礁環礁の3メートル以浅で見られるが、水深15メートルの記録がある。大きな臼歯で甲殻類を食べることができる。ゼブラウツボに似るが、本種は肛門が体の中央部付近に開き、背びれは鰓孔の上方から始まることで区別できる。

[尼岡邦夫 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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