日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャルパンチエ」の意味・わかりやすい解説
シャルパンチエ(Gustave Charpentier)
しゃるぱんちえ
Gustave Charpentier
(1860―1956)
フランスの作曲家。おもに声楽、オペラの分野で活躍。モーゼル県デューズの生まれ。リール音楽院に学んだのち1881年パリ音楽院に入学、一時ボヘミアン的生活のため勉強から離れたが、85年マスネの作曲クラスに入り、2年後にローマ大賞を獲得した。ローマ留学中の管弦楽曲『イタリアの印象』(1887~89)と、留学中に着手したオペラ『ルイーズ』(1889~96)は彼の代表作となった。とくに1900年にオペラ・コミック座で初演された『ルイーズ』は、彼自身の経験に基づいてパリの場末の日常生活を巧みに表現した点でベリズモ・オペラに先駆けており、大成功を博した。1912年マスネの後任としてアカデミー会員に選ばれ、13年にオペラ第二作『ジュリアン』を発表したが、以後作品はなく、パリに没した。
[船山信子]
シャルパンチエ(Marc-Antoine Charpentier)
しゃるぱんちえ
Marc-Antoine Charpentier
(1634ころ―1704)
フランスの作曲家。パリ生まれ。絵画を学ぶためローマに留学したが音楽に転じ、パリに戻ったあとは劇作家モリエールと協力し舞台音楽を作曲、1680年以後ギーズ公妃の楽長に就任。84年以後イエズス会の教会と学校のために多数の宗教音楽、学校の演劇上演のための付随音楽を作曲した。98年からはパリのサント・シャペルの楽長を務め生涯を終えた。リュリに妨げられたこともあって王室の音楽家にはなれず、作品が生前に印刷されることもほとんどなかったため、長く忘れられていたが、第二次世界大戦後急速に作品が知られるようになった。イタリア音楽の豊かな表情をたたえた旋律、大胆な和声、綿密で繊細な音色の変化などにより、今日では17世紀後半のフランスを代表する音楽家とみなされている。彼は、オラトリオの形式のフランスへの導入者、フランス語による最初のカンタータ作曲者としても重要である。代表作にカンタータ『地獄にくだるオルフェ』(1683)、オペラ『メデ』(1693初演)などがある。
[美山良夫]