サント・シャペル(読み)さんとしゃぺる(英語表記)Sainte Chapelle フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サント・シャペル」の意味・わかりやすい解説

サント・シャペル
さんとしゃぺる
Sainte Chapelle フランス語

パリのシテ島にある礼拝堂ステンドグラスの美しさで名高い。聖王ルイ9世が、キリストが実際に身につけたと信じられている「茨(いばら)の冠」や「真の十字架」の断片などをコンスタンティノープル皇帝から入手し、それを安置するため当時の王宮中庭に建てたもの。1248年に落成し、ゴシック建築精華とされている。構造上の支えは屋外に張り出ている扶壁(ふへき)に任され、細い柱に挟まれているだけの高大な窓の全面に、ステンドグラスが五彩の光を放っている。ステンドグラスの効果を極限にまで発揮させた建築である。なお、この礼拝堂を含むパリのセーヌ川河岸は1991年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[紅山雪夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サント・シャペル」の意味・わかりやすい解説

サント・シャペル[パリ]
Sainte-Chapelle, Paris

パリのシテ島内王宮 (旧パレ・ロワイヤル,現在は裁判所) 中にあるゴシックの小聖堂。キリストの聖遺物 (いばらの冠) を納めるために聖王ルイの命によって 1241年起工,48年に完成されたレイヨナン様式ゴシックの代表的聖堂。内部は2層に分けられているため比較的縦長のプロポーションをもち,単純なバットレス (控壁) と高い尖塔とがつくりだす天空を目指したフォルムは美しい。上層は王のための礼拝堂で側廊をもたない単純な構造を有し,ボールト (穹窿) は細い円柱によって支えられている。柱間をすべて窓とし,それを飾った 13世紀のステンドグラスの美しさは最も有名である。下層の礼拝堂は宮廷の官吏たちのためのもので,側廊をもち,低い天井を形成するための浅いボールトが特徴的である。

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