日本大百科全書(ニッポニカ) 「リュリ」の意味・わかりやすい解説
リュリ
りゅり
Jean-Baptiste Lully
(1632―1687)
フランスの作曲家。フィレンツェに生まれ、1646年パリに移る。20歳ごろからルイ14世の宮廷に仕え、踊り手、器楽作曲家を経て、宮廷バレエの作曲家として活躍。国王の寵愛(ちょうあい)を受け、61年に王室の楽団総監督、同作曲家に就任、同年フランスに帰化した。64年以後モリエールと協力し、コメディ・バレエ(幕間などに多くのバレエを挿入した喜劇)を発表した。この分野の代表作は『町人貴族』(1670)である。リュリはオペラ劇場開設を企画、国王は彼に独占的上演権を与えた。リュリはフランス古典劇の抑揚を研究、フランス語に即したレチタティーボとアリアの区別のない声楽スタイルを用い、神話をおもな題材とした。プロローグと五幕からなるオペラを、73年以後86年まで作曲、上演した。これはフランス・バロック・オペラの基本スタイルとなった。また二群の合唱、管弦楽による壮麗な宗教音楽を王室礼拝堂のために作曲した。パリに没。
[美山良夫]