日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュタルケル」の意味・わかりやすい解説
シュタルケル
しゅたるける
János Starker
(1924―2013)
ハンガリー出身のアメリカのチェロ奏者。生地のブダペスト音楽院で学び、ブダペスト歌劇場の首席チェロ奏者となる。1946年フランスに移り、さらに1948年渡米、ダラス交響楽団、メトロポリタン歌劇場、シカゴ交響楽団の各首席奏者となる。1954年アメリカの市民権を得て、1958年インディアナ大学教授に就任。以後、独奏活動をいっそう活発に行うようになった。1960年(昭和35)初来日。その演奏は、まれにみる達者な技巧に支えられ、健康的で生き生きした表現を特色とするが、1970年代以降は、かつての豪壮さが影を潜め、表現の多彩と円熟を重視した芸風に変わった。コダーイの無伴奏チェロ・ソナタは、もっとも得意にしていた演目である。日本のチェロ奏者堤剛(つよし)(1942― )の師。
[岩井宏之]
『吉田秀和著『吉田秀和全集13 音楽家のこと』新装復刊版(2001・白水社)』▽『堤剛著『チェロを生きる』(2002・新潮社)』