ハンガリーの作曲家、民族音楽学者、教育家。12月16日ケチケメートに生まれる。ピアノや弦楽器を学ぶとともにロマ(かつてはジプシーとよばれた)の民謡やカトリック教会の音楽に親しんだのち、ブダペスト音楽院に入学、ケスラーに作曲を師事した。1905年ごろから真のハンガリー民謡である農民音楽に関心を抱き、音楽院の同門で1歳年長のバルトークとともに民謡の採集・調査を開始。同時期に知ったドビュッシーの音楽の影響を加えて、民俗音楽に根ざした独自の語法を開拓していった。1923年ブダペスト市の50年祭のために作曲した『ハンガリー詩篇(しへん)』が大成功を収め、世界的な名声を獲得。1907年から母校で教え、ナチズムの時代も国内にとどまって、第二次世界大戦後ハンガリー音楽界の最長老として多くの要職を務め、圧倒的な尊敬を集めた。並び称されることの多いバルトークとは対照的に、コダーイはけっして急進的に走らず、古典的で明快な作風をみせ、『ハンガリー詩篇』や『ミサ・ブレビス』(1944)など対位法的書法による声楽作品に傑作を残した。ほかに『ハーリ・ヤーノシュ』(1925~27)などの舞台作品や管弦楽曲『ガランタ舞曲』(1933)も名高い。また民謡研究の重要な著作多数があるほか、民謡に基づく音楽教育の面で大きな功績を残している。67年3月6日ブダペストで没した。
[益山典子]
『Z・コダーイ著、関鼎訳『ハンガリーの民俗音楽』(1971・音楽之友社)』▽『L・エウセ著、谷本一之訳『コダーイ・ゾルターン――生涯と作品』(1974・全音楽譜出版社)』▽『K・フォライ、E・セーニ著、羽仁協子・谷本一之訳『コダーイ・システムとは何か』(1974・全音楽譜出版社)』▽『コダーイ著、中川弘一郎編・訳『コダーイ・ゾルターンの教育思想と実践』(1980・全音楽譜出版社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報
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