ドイツ南西部、ラインラント・プファルツ州の都市。人口4万9800(2000)。ライン川左岸の段丘上に位置する。古くから宗教都市、商業都市として発展してきたため、都市における通常の司法、行政、金融など各種機能のほか、ワイン博物館を含む博物館、文書館、キリスト教新旧両宗派の神学校など、ライン河谷の歴史と文化の中心地としての施設も多い。ライン河港には、石油、航空機、自動車、電気機器などの新しい工業も立地している。
[朝野洋一]
古代ローマ末期に、ケルト人、ゲルマン人の集落があったこと、また614年に司教座が存在したことが記録によって確かめられる。ザリエル王家、ホーエンシュタウフェン王家時代に繁栄し、1294年司教の支配を脱して帝国都市となった。しばしば帝国議会の開催地となったが、1526年と1529年の帝国議会(シュパイエル国会)は、宗教改革史上重要な意義をもつものとして有名である。1526~1689年の間、帝室裁判所の所在地であった。プファルツ継承戦争中の1689年フランス軍によって焼き払われ、司教座聖堂その他少数の建物を除いて町のほとんどは焼失し、フランス革命戦争中の1794年にふたたび大きな破壊を被った。1797~1814年の間フランス領に編入され、1816年バイエルン領となり、以後1945年までラインラント・プファルツの政庁所在地であった。
[中村賢二郎]
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