シラヌカ(読み)しらぬか

日本歴史地名大系 「シラヌカ」の解説

シラヌカ
しらぬか

漢字表記地名白糠」のもとになったアイヌ語に由来する地名。場所名・コタン名のほか河川や岬の名称としても記録されている。天保郷帳には「クスリ持場」のうち「シラヌカ」とみえ、当地一帯は近代に入り白糠村に包含された。仮名表記は「シラヌカ」(「蝦夷志」「風俗人情之沙汰」「東行漫筆」「協和私役」など)が多いが、「シラレカ」(木村「蝦夷日記」)もあり、古くは「しらぬか」(「津軽一統志」「狄蜂起集書」・享保十二年所附・「寛政蝦夷乱取調日記」)、「しらんか」(津軽一統志)などと記された。漢字表記は「白糠」(児山「蝦夷日記」、「東蝦夷地場所大概書」)、「志羅奴賀」(支配所持名前帳)、「白抜」(谷「蝦夷紀行」)、「不知哉」(島「入北記」)などがみられる。語義について木村「蝦夷日記」に「シラヌカハ海へ差出たる磯ト訳ス」(寛政一〇年一〇月二〇日条)とあり、「東行漫筆」は「シラヌカと云はシラリとは岩の事を云」(文化六年四月二二日条)、あるいは「シラリは磯の事」と記す。秦「地名考」は本来の語形を「シラリカタ」とし、「シラリは波の名また干潟をも云へり。白き事なるへし」と述べる。「地名考并里程記」は「シラヌカ 夷語シラリカなり。シラリイカの略語にて、則、シラリとは潮の事、イカとは越すと申事にて、満汐川へ入る故此名あり」とし、板本「東蝦夷日誌」も同様に「名義はシラリイカにして、汐越ると云儀。満汐の時は此ヲフネフの川より、チヤロ・ワツテまで平場、惣て汐打入るゝ故に号く」と記す。

当地は一六四三年(寛永二〇年)のオランダ東インド会社カストリクム号の航海記録(フリース船隊航海記)中にシラリカCirarcaとみえ、金銀の産地と記されている(同年八月二六日条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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