六訂版 家庭医学大全科 「シラミ症」の解説
シラミ症
シラミしょう
Pediculosis
(皮膚の病気)
どんな病気か
原因は何か
頭髪に寄生するアタマジラミ(図96)、あるいは陰毛に寄生するケジラミ(図97)が原因です。
アタマジラミは幼稚園児や学童の間でうつることが多く、学校内での流行がみられます。ケジラミは性行為でうつります。
症状の現れ方
アタマジラミ症では頭皮のかゆみ、ケジラミ症では陰部のかゆみが出ますが、自覚症状がない場合もあります。
検査と診断
毛髪部でシラミの虫体を捕獲するか、毛髪に固着した白い「フケ」のようなシラミの卵(大きさは約0.5㎜)を確認すれば診断確定です。
治療の方法
頭髪あるいは陰毛を剃ることでシラミの住む場所がなくなるので、可能であれば
薬剤としてはフェノトリン(スミスリン)を用います。パウダータイプの場合は頭髪ないし陰毛部に薬剤を撒布し、約1時間後に入浴します。シャンプータイプの場合は薬剤を頭髪、陰毛につけて約5分後に洗い流します。これを3日に1回、3~4回繰り返すとシラミは全滅します。
なお、近年ではフェノトリンの効かないシラミも出現しているので注意が必要です。
病気に気づいたらどうする
アタマジラミ症は幼稚園児や小学校の児童などの間で流行していても、両親が気がつかないケースや医療機関を受診せずにすまそうとして治療開始が遅れるケースもありますので、親・兄弟や友人などに発生していないか早急に確認する必要があります。
シラミの卵はフケと混同されることがあるので、診断確定のため皮膚科を受診してください。不潔が原因ではないので、いじめの対象にならないよう、正しい知識をもって同時に治療を開始することが重要です。
ケジラミ症の場合は性行為のパートナーにも感染している可能性が高いので、確認して同時に治療しましょう。
夏秋 優
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報