改訂新版 世界大百科事典 「シリウスの伴星」の意味・わかりやすい解説
シリウスの伴星 (シリウスのばんせい)
companion of Sirius
シリウスのまわりを50.1年の周期で公転している星があり,シリウスの伴星と呼ばれている。この星は白色矮星(わいせい)の発見に導いたものとして有名である。すなわち,1844年に,F.W.ベッセルは,シリウスの運動が直線でなく,ふらついていることを見いだし,暗くて見えない星を伴っていると考えた。シリウスの主星よりも10等級(1万倍)も暗いこの伴星は,1862年にクラークA.G.Clark(1832-97)によって見つけられた。主星の軌道のふらつきが解析され,伴星の質量は太陽程度(1.02倍)であることがわかった。1915年W.S.アダムズは,伴星のスペクトルをとり,その解析から星の半径が約5400kmと地球程度しかなく,このことからその平均密度は3000kg/cm3ときわめて高いことをつきとめた。一般相対性理論は,強い重力場ではスペクトル線の波長がずれることを予言していたが,それも25年にシリウスの伴星で確かめられた。
執筆者:杉本 大一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報