改訂新版 世界大百科事典 「シロテツ」の意味・わかりやすい解説
シロテツ
Boninia glabra Planch.
小笠原に特産するミカン科の常緑高木で,全体に毛がなく,高さ7mくらいとなる。葉は対生し,楕円形の革質で長さ2.5~10cm,先端はつぶれ,基部はくさび形。葉柄は長さ1.5~2.5cm。枝先の葉腋(ようえき)に長さ2~3cmの円錐花序を出し,多数の小さい白色の花をつける。雌雄異株で花は4数性。雄花は長さ1.5mmくらい。萼は4浅裂し,長さは花弁の約半分で有毛。雄花のおしべは花弁より短い。子房は円形で有毛,心皮は完全に癒合し,先に短い1本の花柱がつく。袋果は扁球形で径7~10mm,胞背で裂け,分果状とはならない。
シロテツ属Boniniaは1属2種からなり,他の1種オオバシロテツは小枝は乾いても赤みをおびず,葉は大きいのでシロテツから区別できる。シロテツ属はハワイ産のPalea属にもっとも近縁であるが,おしべが4本(Palea属では8本)なので,小笠原固有属として区別される。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報