シロバナノヘビイチゴ(読み)シロバナノヘビイチゴ(その他表記)Fragaria nipponica

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロバナノヘビイチゴ」の意味・わかりやすい解説

シロバナノヘビイチゴ(白花の蛇苺)
シロバナノヘビイチゴ
Fragaria nipponica

バラ科多年草高原などに生える。地表に長い走出枝を伸ばして繁殖する。葉は根生し,3出複葉で長い柄がある。小葉は倒卵形で,鋸歯がある。4~6月頃,葉の間から高さ4~7cmの花茎を出して分枝し,オランダイチゴによく似た白花を数個つける。花は径 2cm内外で,萼片,副萼片,花弁いずれも5枚,おしべめしべは多数ある。花が終ってから花床がふくらんで,径8~10mmほどの球形または卵円形,赤色肉質の偽果 (イチゴ状果) となり,甘みがあり食べられる。栽培種のオランダイチゴ F. chiloensis同属の植物である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロバナノヘビイチゴ」の意味・わかりやすい解説

シロバナノヘビイチゴ
しろばなのへびいちご / 白花蛇苺
[学] Fragaria nipponica Makino

バラ科(APG分類:バラ科)の多年草。モリイチゴ(森苺)ともいう。根茎はやや太く、走出枝を出して繁殖する。根出葉は倒卵形の小葉3枚からなる複葉で、長柄がある。5~7月、約10センチメートルの花茎を出し、白色で径1.5~2センチメートルの5弁花を2~4個開く。花期後、花托(かたく)は膨らみ、いちご状果をつくり、赤く熟し甘い。千島列島、北海道、本州屋久(やく)島、および韓国の済州島に分布する。ヘビイチゴの仲間ではなく、オランダイチゴの仲間である。

[鳴橋直弘 2020年1月21日]


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世界大百科事典(旧版)内のシロバナノヘビイチゴの言及

【イチゴ(苺)】より

…ノウゴウイチゴF.iinumae Makinoは,本州の中国地方以北サハリンまでのおもに日本海側の山地のやや湿った場所に群生する。シロバナノヘビイチゴF.nipponica Makinoは屋久島および本州(関東,中部)の山地草原に,エゾクサイチゴF.yezoensis Haraは北海道の草原に,またエゾヘビイチゴF.vesca L.はヨーロッパからアジア,さらに北アメリカにかけて広く分布し,北海道にも産するが移入品と考えられる。【鳴橋 直弘】
[シンボリズム]
 イチゴはキリスト教では〈正義〉をあらわす象徴として使われる。…

※「シロバナノヘビイチゴ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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