偽果(読み)ギカ

デジタル大辞泉 「偽果」の意味・読み・例文・類語

ぎ‐か〔‐クワ〕【偽果】

仮果かか

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精選版 日本国語大辞典 「偽果」の意味・読み・例文・類語

ぎ‐か‥クヮ【偽果・擬果】

  1. 〘 名詞 〙 植物子房以外に花托、萼(がく)、総苞などの部分が加わってできた果実総称イチジクナシイチゴなどにみられる。仮果。副果。⇔真果

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「偽果」の意味・わかりやすい解説

偽果
ぎか

仮果(かか)ともいう。心皮(しんぴ)以外の萼(がく)や花床(かしょう)(花托(かたく))などの部分を含む果実の総称であって、真果(しんか)(真正果実)に対していう。

 バラ科ではいろいろの偽果がみられ、リンゴ属、ナシ属などでは真果の周りを発達した花床が取り囲む。イチゴ属では花床が発達して液質となり、その表面に小さい真果が埋め込まれた形となっている。イチジク属では壺(つぼ)状の花床が発達し、果実はその中に隠れている。

 ケンポナシやカシューノキ属では花柄(かへい)(花梗(かこう))の上部が膨れて果実状となり、その上に子房の発達した果実が付属物のようについている。ヤブランルイヨウボタンでは子房壁が発達せず種子が大きくなるため、子房壁は破れ、種子の基部に小さく縮んで付着し、種子が果実状になるが、これは真果である。またキク科植物の痩果(そうか)といわれるものは、萼筒(がくとう)が宿存し、中に果実が入っているので、正確には真果ではなく偽果である。パイナップルは複合果であるが、子房壁ではなく、花序の軸がとくに発達したもので偽果である。

吉田 治]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「偽果」の意味・わかりやすい解説

偽果
ぎか
pseudocarp; false fruit

果実の分類の一つで,子房以外の部分が生長して果実の主要部分となるものの総称。仮果ともいう。生長する部分としては花托が全体を包み込むもの (なし状果。ナシ,ビワ) ,花托が肥大してその上に種子状に退化した果実が散在するもの (いちご状果。イチゴ) ,花軸が肥大して壺状となって内側多数の果実を包み込むもの (いちじく状果。イチジク) などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の偽果の言及

【実】より

…花柱が残って子房とともに大きくなり散布に役立つものが,テッセン,チングルマなどに知られている。 このように実の構成に子房以外の部分が関係しているものを偽果false fruitと呼び,子房からのみなる狭義の実を真果true fruitとして区別することがある。しかし両者の区別は必ずしも明瞭ではなく,例えばカキでは萼が著しく生長するので偽果となり,ミカンの萼はほとんど生長しないため真果とするのでは,あまりにも人為的過ぎる。…

※「偽果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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