日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジビニルベンゼン」の意味・わかりやすい解説
ジビニルベンゼン
じびにるべんぜん
divinylbenzene
芳香族炭化水素に属し、o(オルト)-、m(メタ)-、p(パラ)-ジビニルベンゼンの3種の異性体がある。
化学式C6H4(CH=CH2)2、分子量は130.19。実験室では相当するフタルアルデヒドからグリニャール反応と脱水反応を応用して合成する。工業的にはジエチルベンゼンの脱水素反応により製造する。生成物はラジカル重合、または陽イオン重合をおこしやすいので、カテコールなどの重合禁止剤を添加して貯蔵、運搬しなければならない。ジビニルベンゼンの単独重合体はもろく、不溶、不融で利用価値は少ないが、高分子の添加架橋剤として重要である。ポリスチレン、ポリエチレンの変性、スチレン・ブタジエンゴムの添加剤として用いられる。スチレンとの共重合体はイオン交換樹脂の素材となる。
[向井利夫]