カテコール(読み)かてこーる(英語表記)catechol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カテコール」の意味・わかりやすい解説

カテコール
かてこーる
catechol

二価フェノールの一つ。1,2-ベンゼンジオール、1,2-ジヒドロキシベンゼンのこと。慣用名としてピロカテコールブレンツカテキンなどともよばれる。

 リグニンタンニンアルカリ融解によっても生成するが、1,2-ジクロロベンゼンを銅塩を触媒としてアルカリと加熱して製造する。純粋なものは無色結晶であるが、酸化を受けやすく、空気や光によって着色する。エタノールエチルアルコール)やエーテルによく溶け、また冷水にもかなり溶ける。還元力が高く銀鏡反応を示し、フェーリング液を還元する。写真の現像液の主成分として、またチタンモリブデン、鉄、コバルトなどの金属イオンの分析試薬としても用いられる。

[徳丸克己]


カテコール(データノート)
かてこーるでーたのーと

カテコール

 分子式 C6H6O2
 分子量 110.1
 融点  105℃
 沸点  245℃
 比重  1.344

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カテコール」の意味・わかりやすい解説

カテコール
catechol

ピロカテキン,ピロカテコール,ブレンツカテキン,1,2-ジオキシベンゼンなどともいう。化学式 C6H4(OH)2 。無色柱状晶。融点 104~105℃。水,アルコールに溶け,空気や光にさらすと着色する。サリチル酸過酸化水素で酸化してつくられる。写真の現像薬に用いられる。アルカリ性で金属イオンとキレート化合物をつくる (分析試薬) 。酸化重合させるとカテコールメラニン (不溶性黒色色素) になる。

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