ジャングルキャット(その他表記)jungle cat
Felis chaus

デジタル大辞泉 「ジャングルキャット」の意味・読み・例文・類語

ジャングル‐キャット(jungle cat)

ネコ科哺乳類。体長約60~70センチ。体は灰褐色から灰黄色で、四肢と尾の先端に黒いしまがある。南アジアから中近東にかけての草原水辺のやぶなどに生息。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジャングルキャット」の意味・わかりやすい解説

ジャングルキャット
jungle cat
Felis chaus

イエネコ近縁ヤマネコ。食肉目ネコ科の哺乳類。北アフリカから中東,小アジアを経て,インドスリランカミャンマー,タイ,インドシナ,中国の雲南まで分布。体長50~75cm,尾長25~29cm,体重4~16kg。体色は変化に富み,黄灰色から灰褐色,赤茶色まであり,ふつう目だった斑紋はない。耳は三角形で先端に黒色の小さな房があり,尾には2~3本の黒い輪があり,先が黒い。イエネコやその祖先リビアネコに比べると大型で四肢が長い。湖や川の近く,あるいは沼沢地のやぶにすみ,夜も日中も出歩く。ウサギやその他の小獣,鳥,ヘビカエル,魚などを食べ,ときにヤマアラシなども襲う。やぶに草を集めて巣にしたり,アナグマ,ヤマアラシ,キツネなどが捨てた穴をすみかとし,雌は4~5月ころ,地域によっては1~2月ころ,1腹3~5子を生む。発情期に雄はイエネコよりも低いしわがれ声で盛んに鳴く。妊娠期間は66日。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャングルキャット」の意味・わかりやすい解説

ジャングルキャット
じゃんぐるきゃっと
jungle cat
[学] Felis chaus

哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。ベトナムからインドを経て小アジア、エジプトまでの水辺のやぶや低木林、草原に生息する。体長60~75センチメートル、尾長25~35センチメートル、体重5~6キログラム。体は灰褐色から灰黄色で、斑紋(はんもん)はほとんどない。単独で生活し、おもに日中活動し、ネズミやカエル、鳥を捕食する。木登りもうまい。繁殖期は熱帯地方では不定であるが、普通は2~4月で、約66日の妊娠期間ののちに1産2~5子を産む。寿命は飼育下で約8年。近縁種にアフリカ南部の乾燥地帯にすむクロアシネコF. nigripesサハラアラビアの砂漠にすむサバクネコF. margarita、モンゴルの砂漠にすむハイイロネコF. bietiがある。

[今泉忠明]

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知恵蔵mini 「ジャングルキャット」の解説

ジャングルキャット

小型のネコ科の一種で、中近東からインド、パキスタン、アフガニスタンにかけて分布。体長50~75cm、尾長23~35cmで、体重5~16kg。体色は灰黄色や黄褐色、砂色がかった褐色、黒と淡い褐色の霜降りなど、亜種によって様々である。乾燥した森や林、サバンナ、開けた低木地帯、湖や沼の近くの葦原などに生息している。主食はネズミやノウサギなどの小型哺乳類だが、トカゲ、ヘビなども捕食し、頭上を飛ぶ鳥をジャンプして捕らえたりもする。更に水辺に棲む個体は水に潜って魚を捕らえる。2013年7月にインド・アーメダバードにあるアシャ財団の動物保護施設で、手のひらに収まるほど小さな3匹のジャングルキャットの赤ちゃんが飼育されていることが報道され、にわかに脚光を浴びた。

(2013-7-8)

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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「ジャングルキャット」の解説

ジャングルキャット
学名:Felis chaus

種名 / ジャングルキャット
科名 / ネコ科
解説 / 単独で狩りをします。水の近くの森にすんでいて、水中で魚をとることもあります。
体長 / 60~90cm/尾長25~35cm
体重 / 7~15kg
食物 / ウサギ、ネズミ、カエル、鳥
分布 / 西アジアからインドネシア

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャングルキャット」の意味・わかりやすい解説

ジャングルキャット
Felis chaus; jungle cat

食肉目ネコ科。体長 70cm。尾はやや短く,前後肢が比較的長い。小ネコには縞模様があるが成獣になると消える。耳の先端にはわずかに毛の総がある。おもにノウサギのような小型哺乳類を捕食するが,鳥類やカエルも食べる。エジプト,ロシア,インド,ミャンマー,スリランカ,タイに分布し,低木林,沼沢林,アシが生える草原にすむ。

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世界大百科事典(旧版)内のジャングルキャットの言及

【ネコ(猫)】より

…【村下 重夫】。。…

【リビアネコ】より

…【今泉 忠明】。。…

【ネコ(猫)】より

…【一木 彦三】
【イエネコの形態】
 イエネコの祖先型はリビアネコを家畜化したものであったが,その後ヨーロッパヤマネコとの交配が行われたもようで,ユーラシアのものにはヨーロッパヤマネコに似た斑紋のものが多い。しかしジャングルキャット(チャウス)が混血している気配は,毛色や斑紋の酷似したインドのイエネコにさえも,まったく認められない。もちろん別属のベンガルヤマネコなどとの混血は考えられない。…

【リビアネコ】より

…暑い地方では一年中繁殖し,妊娠期間約66日,ふつう1産2~3子を生む。イエネコの主要な祖先の一つと考えられ,これとヨーロッパヤマネコF.silvestris,ジャングルキャットF.chausがいろいろに混じって現在のイエネコができ上がったとされる。リビアネコとイエネコの間には雑種が容易にできる。…

※「ジャングルキャット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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