改訂新版 世界大百科事典 「ジュヌビエーブ」の意味・わかりやすい解説
ジュヌビエーブ
Geneviève
生没年:422ころ-512ころ
聖女。ラテン名はGenovevaまたはGenovefa。パリ郊外のナンテールに生まれ,後代の伝説によれば幼くして羊飼いとなった。オーセールの司教ゲルマヌスは旅先でこの少女の敬虔さを認め,胸に十字架のついたメダルをかけ与えたという。成人してパリに赴き,455年フン族のアッティラ軍から奇跡的にこの町を守り,同市の守護聖人として崇敬されるようになった。美術では世俗の衣をつけた乙女として表され,まれに修道女の姿をとることもある。胸にメダルをかけ,手にはろうそくをもつことが多い。後者は,聖女がミサに出席したおりに,悪魔が消したろうそくを天使が即座にともしたという伝説にもとづく。ペストや熱病から守る力をもち,ろうそく作りや羊飼いの守護聖女。祝日は1月3日。
執筆者:荒木 成子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報