日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョージア語」の意味・わかりやすい解説
ジョージア語
じょーじあご
Georgian
コーカサス(カフカス)語族中最大の話者人口(300万人以上)をもつ言語で、おもにジョージア(グルジア)を中心に話される。ラズ語、ミングレル語、スバン語とともに南コーカサス(カフカス)語派に属し、ジョルジア語ともいわれる。固有名はカルトゥリ・エナである。最古の記録は5世紀にさかのぼり、長い文学的伝統をもつ。11世紀までを古ジョージア語、それ以後を新(現代)ジョージア語とよぶ。現代ジョージア語は東と西の方言群に分けられるが、大きな違いはない。
[柘植洋一]
特徴
音素数は28子音と5母音で、コーカサス語族のなかでは少ない。またmsxverli「捧(ささ)げ物」にみられるように多子音連続を許し、3子音以上の連続もまれではない。動詞は方向を表す接頭辞や、人称・受身・使役などを表す接尾辞によってさまざまに拡張される。時制組織は、現在、アオリスト(無限定過去)、完了からなる。名詞は六つの格をもち、このうち他動詞(アオリストの場合のみ)の主語を示す能(のう)格が特徴的である。たとえば、「1学生は2行った。」sudeni1 mivida2.では、主語は絶対格(-i)で現れるが、「1学生は2手紙を3書いた。」sudenma1 daera3 erili2.では能格(-ma)で現れる。
[柘植洋一]