日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
スイス・インターナショナル・エアラインズ
すいすいんたーなしょなるえあらいんず
Swiss International Air Lines Ltd.
スイスの航空会社。前身はスイス航空Swiss Air Transport Co. Ltd.で、2001年に倒産したが、2002年に現名称で再建された。2007年よりルフトハンザ・グループ傘下に入った。
前身であるスイス航空は、1931年にアストラ・アエロ航空Ad. Astra Aero AGとバスラ航空Basler Luftverkehrの合併によって成立した。1934年、ヨーロッパ航空会社のなかでは最初にスチュワーデスを採用。おもにヨーロッパ路線網を中心に発展していたが、第二次世界大戦で中断。戦後1945年7月から営業を再開し、スイスの代表的な航空会社に成長した。
スイス航空は1947年に国を代表する航空会社に指定され、スイス政府が株式の30%を所有。1949年には北大西洋路線でアメリカに乗り入れ、1954年には南アメリカに定期便を就航させるなど、世界各地に路線を拡大し、1982年には輸送旅客数1億人を超えた。また、旅客輸送以外に貨物便、航空機のメンテナンス、ホテル業などの事業も展開した。なお、日本には1957年(昭和32)に南回り路線、1986年には北極経由路線を開設した。
1990年代はコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーMcKinsey & Companyのアドバイスのもとに、中小航空会社の吸収合併を図り、そのなかには、経営状態の悪いベルギーのサベナ・ベルギー航空も含まれていた。1997年、スイス航空は傘下企業間の組織の整備とグループとしての統合力を強化するためにエスエアー・グループSAirGroupを結成した。グループは、航空事業、地上業務・整備、流通、ホテル・食事サービス・トラベルの4事業部門により構成され、それぞれが独立の会社となっていたが、親会社のエスエアー・グループ社SAirGroup AGが株式の100%を所有し、それぞれが独立採算制をとっていた。このうち、航空事業部門には、スイス航空と、ヨーロッパ内の短距離便を専門としていたクロスエアーCrossairが含まれていた。
2001年4月グループ名はスイスエアー・グループSwissair Groupと変更された。しかし、多角経営の失敗により業績は低迷し、そこに9月のアメリカにおける同時多発テロが発生して以降、業績の悪化が継続し、ついに10月会社更生法の適用を受けて倒産した(資金援助をしていたサベナ・ベルギー航空も同時に経営破綻(はたん))。スイス航空の業務は、グループ会社であるクロスエアーに譲渡された。2002年には政府支援のもとで再建策が練られ、現在のスイス・インターナショナル・エアラインズとして存続が図られたが、2005年にルフトハンザ・ドイツ航空からの買収交渉を受け入れ、2007年に最終的に同社の傘下に入った。
2009年2月現在の保有航空機は77機、世界42か国90都市を結んでいる。2008年の旅客数は1347万人、従業員数約7300人。2006年度は415万3000スイス・フランの運航利益を計上、税引前の収益は2億3100万スイス・フランであった。
[湯沢 威・上川孝夫]