日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ルフトハンザ・ドイツ航空
るふとはんざどいつこうくう
Deutsche Lufthansa AG
世界最大級のドイツの航空会社で、ルフトハンザ・グループの主要企業。ルフトハンザの「ルフト」Luftはドイツ語で「空」を意味し、「ハンザ」Hansaは13世紀ヨーロッパの商業組織「ハンザ同盟」に由来する。ルフトハンザ・ドイツ航空は文字どおり、「空の商人」として、ドイツのみならずヨーロッパを代表する航空会社として発展を続けている。2008年『フォーチュン』誌(アメリカの経済誌)の世界企業ランキングでは第250位であるが、世界の航空会社のなかでは第2位である。
1926年、ユンカース・ルフトフェアケアー社とドイッチェ・アエロ・ロイド社の合併によってドイツ・ルフト・ハンザ航空Deutsche Luft Hansaが設立された。1933年、現社名に変更。第二次世界大戦前には世界の代表的航空会社として、世界各地に路線網をもっていた。第二次世界大戦により解散したが、戦後1955年に新規に国内・国際線の営業を開始し、機材にコンベアCV‐340を導入したことによって、短期間のうちに代表的な国際航空会社の地位を確立した。1970年にはヨーロッパで最初にジャンボ機ボーイング747を導入し、大量輸送時代の先鞭(せんべん)をつけた。1994年、世界的な航空業界の不況が続くなか、競争力強化のためアメリカのユナイテッド航空との業務提携を開始。1997年には「スターアライアンス」という世界最大級の航空会社提携ネットワークを開始した。日本へは、1961年(昭和36)東京へ就航したのをはじめ、1969年大阪、1991年名古屋と航路を順調に広げた。
ルフトハンザ・グループは、ルフトハンザ・カーゴ(航空貨物)、ルフトハンザ・システムズ(エアラインの情報処理業務)、ルフトハンザ・テクニック(航空機整備)、コンドル航空会社(チャーター専門)、ルフトハンザ・シティライン(ヨーロッパ内近距離航空)、LSGルフトハンザ・サービス・ホールディング(LSGスカイシェフ、機内サービス)をはじめとする約100社で形成されている。
国際化戦略を積極的に推し進め、2005年にスイス・インターナショナル・エアラインズ(旧スイス航空)の買収に乗り出し、2007年に完全所有化を果たした。またイギリスへの乗入れを強化するために、2008年10月以来、ブリティッシュ・ミッドランド航空British Midland Airways(bmi)の買収交渉に乗り出し、2009年7月に最終的に合意に達した。さらに2008年11月にオーストリア航空の株式をオーストリア政府から買い取る交渉を開始し、2009年9月にそれを成功させて、同航空を傘下に収めた。国際運送会社DHLとはエアロ・ロジックAeroLogicを設立して、貨物の共同運行を行っている。
2008年現在、全世界に101か国254の路線をもち、549機を所有している。2008年のグループの売上高248億7000万ユーロ、営業利益13億5400万ユーロ、総資産額224億0800万ユーロで、従業員数は10万6000人。
[湯沢 威・所 伸之]