スキャンロン・プラン(読み)すきゃんろんぷらん(英語表記)Scanlon plan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スキャンロン・プラン」の意味・わかりやすい解説

スキャンロン・プラン
すきゃんろんぷらん
Scanlon plan

アメリカのMITマサチューセッツ工科大学)講師であったスキャンロンJ. N. Scanlonが提唱した生産性向上を目ざす労使協力制度。従業員は自己啓発と自己統制の能力をもつとの人間理解にたち、このような人間を経営の意思決定と経営成果分配に参加させることを基本原理にしている。意思決定への参加は提案制度によるが、提案は、個人を単位とする一般の場合と異なり、集団提案を基本とする。提案の審査は、労使双方からなる委員会が行い、有効な提案に対する報奨は、その提案によって生み出された節約分を提案集団の全員に分配する方法による。経営成果への参加は、次式により毎月算出された賞与総額(ボーナスプール)を分配する方法による。

 賞与総額=売上価値×標準労務費率-実際支払労務費
 標準労務費率とは、過去数か年(通常5~10年)の売上価値に対する労務費の比率算術平均である。

 賞与総額はすべて分配するのではなく、実際支払労務費が賞与総額を上回る月に備え、25%相当を積立金としてまず留保し、その残額を、企業側25%、従業員側75%に分け、最後の分を各人の既払い給与に応じて按分(あんぶん)比例して分配する。

[森本三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スキャンロン・プラン」の意味・わかりやすい解説

スキャンロン・プラン
Scanlon plan

マサチューセッツ工科大学の J.スキャンロンの提唱したもので,生産性向上による成果の配分方式,または安定賞与の方式の一つ。売上高に対する人件費の比率を一定にしておき,生産性向上などにより売上高が予想よりも増加したり人件費が節約されたりした場合,基準人件費と実際人件費との差額生産奨励金または賞与という形で支払う。この方式は従業員ひとりひとりの能率を刺激するよりも,むしろ集団としての能率を刺激する,いわゆるチームワークインセンティブの方式としても注目されている。日本ではあまり採用されていないが,アメリカでは中小企業を中心に広く普及している。

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