日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーナス」の意味・わかりやすい解説
ボーナス
ぼーなす
bonus
通常の賃金以外に特別に支給される現金給付。賞与ともいう。本来は、能率給制度のもとで標準作業量以上の成果をあげた場合に支払われる賃金の割増し分のこと。欧米でいうボーナスとはこの割増し分のことであるが、わが国でいうボーナスはそれとはまったく異なり、夏期・年末などに定期または臨時に支給される一時金をさす。歴史的には、盆暮れに、徒弟・使用人に与えた「おしきせ」「小遣い銭」に由来する。第二次世界大戦前は、職員層を対象に、もっぱら企業の恩恵として支給されたが、戦後、低賃金を補う生活補給金として労働組合の側も要求するようになり、以後、賃金の一部として、労使交渉による決定が一般化した。こうした経緯を反映して、現在のボーナスについては、慰労的・恩恵的な慣習的給与、生活補給金、後払い賃金、利潤分配分などのさまざまなとらえ方があるが、実際には、これらの諸要素をあわせもっている。ボーナスは、支払いが強制された賃金ではなく、支給するか否かは当事者にゆだねられているが、支給される場合には、労働基準法上の賃金として扱われるため、一部の例外(毎月払い・一定期日払い規定)を除いて、賃金に関する規定が適用される。
[横山寿一]