日本大百科全書(ニッポニカ) 「スクレイピー」の意味・わかりやすい解説
スクレイピー
すくれいぴー
scrapie
18世紀から知られるヒツジやヤギの海綿状脳症(脳に海綿状の空胞が現れるのを特徴とした病気)。感染し、発病したヒツジは音に敏感になり、かゆがって柵などに体をこすりつける(スクレイプscrape)ことからこの名称でよばれるようになった。その後、脱毛、転倒、運動失調などの症状が進む。原因はプリオンとよばれる感染性タンパク粒子で、実験動物のマウスやハムスターにも病気を伝達させることができる。日本では1984年(昭和59)に初めて見つかった。なお、1986年にイギリスで初めて報告された牛海綿状脳症(BSE)は、ウシの飼料に使われたヒツジがスクレイピーに感染していたことが起因とされ、88年からはその使用を禁止している。しかし、2000年秋にイギリス政府はスクレイピーが原因であるとの説を否定している。
[田辺 功]