スズメ目(読み)すずめもく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スズメ目」の意味・わかりやすい解説

スズメ目
すずめもく

鳥綱の1目。この目Passeriformesにはいわゆる小鳥perching birdとよばれる多数の鳥が含まれ、通常ヒロハシ亜目Eurylaimi、タイランチョウ亜目Tyranni、コトドリ亜目Menurae、鳴禽亜目(めいきんあもく)Oscinesの4亜目、55~70科に分類される。すなわち、鳥綱の科の3分の1以上、種の数の半分以上がスズメ目に属する。これらの諸科の鳥は雀顎(じゃくがく)型の口蓋(こうがい)骨をもち、足指は3本が前を向き、よく発達した第1趾(し)が後ろ向きの後趾となる三前趾足である。カワガラスのようなごく少数例外を除いて、すべて陸生で、一般に樹上生活に適応している。ただし、三前趾足は多くの人によって樹上生活への適応であると考えられているが、真の樹上足は対趾足である。三前趾足は樹上足であると同時に歩行足でもある。事実、スズメ目の多くの鳥は地上で生活をし、また他の多くの地上生活の鳥も三前趾足を基本としている。ホトトギス目ミチバシリのように、対趾足の鳥が地上を走るようになった例もないわけではないが、それはむしろ例外といえる。スズメ目の鳥の特徴の一つは、鳴管進化とそれに伴うさえずりの発達である。鳴管はとくに鳴禽亜目でもっとも進んだ進化段階に達し、この亜目の鳥を鳴禽song birdという。これに対して、ヒロハシ、タイランチョウ、コトドリの3亜目の鳥は、しばしば亜鳴禽類suboscinesと総称される。スズメ目の諸科は第三紀の中ごろ以降に適応放散し、さまざまな食性とそれに適応した形態変化を生じた。スズメ目にいちばん縁が近いのは一般にキツツキ目と考えられている。しかし、キツツキ目自身多くの点で特殊化した群であるので、スズメ目、キツツキ目、ブッポウソウ目共通祖先として、ブッポウソウ目型の鳥を想定しなければならないであろう。

[森岡弘之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「スズメ目」の解説

スズメ目

鳥綱の目。スズメ亜目・イワサザイ亜目・タイランチョウ亜目を含む。現生鳥類最大の目であり、6000種以上が含まれる。

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