タイランチョウ(読み)たいらんちょう(英語表記)tyrant flycatcher

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイランチョウ」の意味・わかりやすい解説

タイランチョウ
Tyrannidae; tyrant flycatchers

スズメ目タイランチョウ科の鳥の総称鳥類では最も多くの種を含む科で,400以上の種が含まれる。全長 6.5~41cm。最小種はコビトタイランチョウ属 Myiornis の 2種で,小鳥のなかでも最小種に入る。最大種はエンビタイランチョウ Tyrannus forficatus など 3種あり,尾羽がたいへん長い。羽色は一般に緑,黄,灰,黒,白,褐色などの目立たないものが多いが,黄,橙,赤,白色などの冠羽(→羽冠)をもつものがある。は短くて幅が広く,先端が鋭く曲がっている。南アメリカ北アメリカにのみ分布する。生息環境は多様で,草原から熱帯雨林まであらゆる環境に生息している。旧世界のヒタキと同じように,多くの種は昆虫食で,留まった枝などから空中に飛び出して昆虫類を捕え,元の枝に戻って食べるが,動き回りながら探す種や,果実食の種もいる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイランチョウ」の意味・わかりやすい解説

タイランチョウ
たいらんちょう / 太蘭鳥
tyrant flycatcher

鳥綱スズメ目タイランチョウ科に属する鳥の総称。この科Tyrannidaeの鳥はアメリカ大陸にだけ分布し、300種以上がある。北はカナダ北部の樹木限界から、南は南アメリカ南端のフエゴ島にまで分布するが、熱帯アメリカに多くの種が生息している。全長7~40センチメートル、全体に褐色系や灰色系のじみな羽色をした鳥が多い。尾が非常に長い種が少数いる。種数が多いことから予想されるように、この類のなかにはいろいろな習性をもつものがいる。しかし、多くの種は、旧大陸のヒタキ類に似た生活をしており、枝から空中にぱっと飛び立って飛翔(ひしょう)中の昆虫をくわえ取り、枝に戻ってそれを食べる。こうした習性をもつ鳥では、嘴(くちばし)の形態もヒタキ類同様、扁平(へんぺい)で基部が三角形をしている。一般に巣は樹上に椀(わん)形のものをつくり、1腹卵数は2~4個、雌だけが抱卵し、育雛(いくすう)は雌雄ともに行う。ヒタキ類に似た生活をするもの以外では、タヒバリ類、サバクビタキ類、ムシクイ類、モズ類、カワセミ類などに似た生活をするものがいる。

[樋口広芳]

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