日本大百科全書(ニッポニカ) 「スターリング機関」の意味・わかりやすい解説
スターリング機関
すたーりんぐきかん
スコットランドの牧師スターリングRobert Stirling(1790―1878)が1816年に特許を得た熱空気機関で、外燃機関の一種。スターリングエンジンともいう。シリンダーの外で加熱した空気をシリンダー内に送り込んでピストンを動かし、ただちにその空気を冷却し、空気の収縮によりピストンを引き込む。次にまた熱空気をシリンダー内に送り込む。これを繰り返しピストンの往復運動で動力を得る仕組みとなっている。20世紀の初め扇風機を動かすものとして市販された。その後自動車用機関の試作もあったが実用化しなかった。20世紀後半になって太陽熱で加熱するスターリング機関の研究が始まり、発電機の原動機として注目されている。
[中山秀太郎]
日本でも工業技術院(現、産業技術総合研究所)で「ムーンライト計画」の一環として汎用スターリング機関の研究が行われ、ヒートポンプ用など各種のエンジンが開発された。しかし、コスト的に内燃機関に劣るため、普及には至っていない。それでも、スターリング機関は低公害の熱機関として研究・開発が続けられ、太陽熱以外にも地熱、産業廃棄熱、バイオマスなどを熱源とする研究も行われている。現在は、コストをあまり気にせずにすむ軍用艦船への利用がみられ、とくに潜水艦への搭載が注目を集めており、日本の潜水艦「そうりゅう」にも搭載されている。
[編集部]