工業技術院(読み)コウギョウギジュツイン

デジタル大辞泉 「工業技術院」の意味・読み・例文・類語

こうぎょうぎじゅつ‐いん〔コウゲフギジユツヰン〕【工業技術院】

鉱工業科学技術に関する試験研究、計量標準設定日本工業規格(現・日本産業規格、JIS)の制定などを行った行政機関。昭和23年(1948)工業技術庁名称商工省設置、昭和27年(1952)改称通商産業省外局を経て、平成13年(2001)廃止。一部業務は独立行政法人産業技術総合研究所に吸収された。

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精選版 日本国語大辞典 「工業技術院」の意味・読み・例文・類語

こうぎょう‐ぎじゅついんコウゲフギジュツヰン【工業技術院】

  1. 〘 名詞 〙 昭和二三年(一九四八工業技術庁設置法に基づき設置された工業試験研究機関。はじめ工業技術庁の名称で商工省の所管であったが同二七年に改称。通商産業省の外局を経て平成一三年(二〇〇一)廃止。生産技術の向上成果普及を図ることを目的とし、鉱業および工業の科学技術に関する試験研究、計量標準の設定、日本工業規格(JIS)制定の業務などを行なった。

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改訂新版 世界大百科事典 「工業技術院」の意味・わかりやすい解説

工業技術院 (こうぎょうぎじゅついん)

産業技術政策の企画・立案施行および工業化試験研究を実施し,産業技術の向上とその成果の普及を行い,日本産業の技術水準の向上と振興を図るために設けられた通商産業省(現、経済産業省)の外局。1948年に工業技術庁設置法にもとづき,商工省(通商産業省の前身)の外局としてまず工業技術庁という名称で設立され,52年工業技術院と改称。組織は,主として産業技術の振興と工業化試験研究の企画・立案・施行に関する業務を行う総務部と,JIS(日本工業規格)の制定に関する業務を行う標準部の2部で構成されている。さらに試験研究所として,計量研究所,機械技術研究所,化学技術研究所(旧,東京工業試験所),大阪工業技術試験所,名古屋工業技術試験所,微生物工業技術研究所,繊維高分子材料研究所,地質調査所,電子技術総合研究所,製品科学研究所,公害資源研究所,北海道工業開発試験所,九州工業技術試験所,四国工業技術試験所,東北工業技術試験所,中国工業技術試験所の16試験所が置かれている。

 工業技術院では,〈技術立国〉を目指す日本の産業政策の一翼をになう機関として,日本の研究開発の主体である民間の研究開発の環境の整備,官民合同の技術開発プロジェクトの推進等を行っている。環境の整備は,民間の活力を最大限発揮できるよう重要技術研究開発費補助金制度等の助成や優遇措置を講じることにより進められている。また官民合同の技術開発プロジェクトは,国民経済上重要で緊急だが資金面・リスク面から民間のみでは開発が進まないような基盤的で大型の技術開発テーマについて,政府研究機関と大学,民間とが有機的な連携を図り研究開発を行おうとするものである。具体的には,(1)1990年代に開花が期待される新エネルギー,航空宇宙,情報処理,生物工学等の次世代産業の確立に不可欠な新材料,バイオテクノロジー,新機能素子といった革新的基盤技術(次世代産業基盤技術研究開発制度),(2)社会開発,産業育成,国民の福祉向上といった見地から重要性・緊急性の高い科学技術用高速計算システム,自動縫製システム,極限作業ロボットといった大型の工業技術(大型工業技術研究開発制度,通称大型プロジェクト),(3)エネルギー安定供給確保のための太陽,地熱,石炭,水素等新エネルギー技術(サンシャイン計画)や高効率の発電方式,燃料電池等の省エネルギー技術(ムーンライト計画)といった課題がとりあげられている。さらに,地域開発に関連して,地域ニーズの強い技術テーマについて国,地方,民間企業の共同プロジェクトとして地域技術の開発振興を図る(重要地域技術研究開発制度)等,全国に試験研究所をもち地元と密着した研究を行うという特色をいかした技術政策も進めている。2001年4月,独立行政法人産業技術総合研究所となった。
科学技術政策
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「工業技術院」の意味・わかりやすい解説

工業技術院
こうぎょうぎじゅついん

通商産業省設置法第8条、工業技術院設置法に基づき、通商産業省に置かれていた特別の機関。前身の工業技術庁が、1952年(昭和27)に工業技術院と改称。2001年(平成13)1月の省庁再編により工業技術院は廃止され、経済産業省の産業技術環境局および経済産業省産業技術総合研究所を経て、同年4月独立行政法人化し産業技術総合研究所として再発足、さらに2015年4月、国立研究開発法人に移行した。

 工業技術院は、鉱工業の科学技術に関する試験研究業務の総合的遂行、生産技術の向上とその成果の普及により経済の興隆に寄与することを目的としていた。工業技術院には、内部部局として総務部と標準部が置かれていた。総務部は、通商産業省の所掌にかかわる事業の科学技術に関する事項についての総合的施策の連絡調整、人事に関すること、会計および会計の監査、工業技術院所属の試験研究所の試験研究計画その他の業務計画の設定および実施の調整・促進、鉱業および工業の科学技術の地域の特性に応じた進歩および改良についての総合的な施策の立案および連絡調整に関する事務等をつかさどっていた。また、標準部は、工業標準の調査、制定、実施指導および普及奨励の総括、国際標準化機関との連絡調整に関する事務その他の国際標準化、工業標準にかかわる認定、指定および承認の実施に関する事務等をつかさどっていた。試験研究所として、つくばセンターに、産業技術融合領域研究所、計量研究所、機械技術研究所、物質工学工業技術研究所、生命工学工業技術研究所、地質調査所、電子技術総合研究所、資源環境技術総合研究所が、地域研究所として北海道工業技術研究所、東北工業技術研究所、名古屋工業技術研究所、大阪工業技術研究所、四国工業技術研究所、中国工業技術研究所、九州工業技術研究所があり、合計15の試験研究所が置かれていた。また、付属機関として日本工業標準調査会があった。

 なお、これらを引き継いで再発足した産業技術総合研究所には、研究拠点として、東京本部、つくば本部のほか、北海道センター、東北センター、福島再生可能エネルギー研究所などの地域研究拠点がある。

[平田和一]

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百科事典マイペディア 「工業技術院」の意味・わかりやすい解説

工業技術院【こうぎょうぎじゅついん】

鉱工業の科学技術に関する試験研究等の総合的な遂行,産業技術の向上とその成果の普及を目的とする通商産業省の付属機関。工業技術協議会,日本工業標準調査会などが付置されている。JISの制定もここで行う。1948年設置。2001年,独立行政法人産業技術総合研究所となった。
→関連項目ISOの環境規格筑波研究学園都市

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「工業技術院」の意味・わかりやすい解説

工業技術院
こうぎょうぎじゅついん

経済産業省の特別の機関。経済産業省設置法8条および工業技術院設置法 (昭和 23年法律 207号) により設置。鉱業および工業に関する試験,研究,調査,技術指導,地質の調査,計量の標準の設定,工業標準の制定,普及,工業化試験およびその他の試験研究の助成などを主務としている。工業技術行政の中心であり,多くの付属試験研究機関をもっている。 1948年商工省,逓信省の研究機関を統合して工業技術庁として発足,1952年工業技術院と改称,通商産業省に所属した。その後 2001年の中央省庁改革に伴い計量教習所と統合,独立行政法人の産業技術総合研究所に改組された。

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世界大百科事典(旧版)内の工業技術院の言及

【通商産業省】より

…外局としては,石油,石炭,原子力,電力,ガス等資源行政,エネルギー行政を一体的に担当する資源エネルギー庁,特許,実用新案,意匠,商標等工業所有権に関する事務を担当する特許庁,各産業分野の中小企業を全体として担当し,その近代化,合理化,組織化や中小企業関係の金融・税制等中小企業行政全般に責任をもつ中小企業庁の三つがある。さらに,付属機関として鉱工業の科学技術に関する試験研究を担当する巨大機構としての工業技術院があり,その本院においてはサンシャイン計画,ムーンライト計画等をはじめとする大型のプロジェクトや工業標準を担当するとともに,その傘下に電子技術総合研究所等15の試験研究機関を持っている。また,地方出先機関としては,通産行政の総合的な出先機関である通商産業局(8)および鉱山における保安行政を担当する鉱山保安監督局(部)(6)がある。…

【電子情報の国際標準】より

…それぞれの国は,その国の国家標準を定める権限をもった機関を分野ごとに指定している。日本での電子情報に関する標準を定めるのは,工業技術院である。 国際貿易が増大してきた現在では,国家標準が違っていると貿易摩擦の火種ともなる。…

※「工業技術院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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