ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ステファヌス」の意味・わかりやすい解説
ステファヌス
Stephanus, Robertus
[没]1559.9.7. スイス,ジュネーブ
フランスの宮廷印刷係。フランス語ではロベール・エティエンヌ Robert I Estienne。特に新約聖書のギリシア語本文の印刷で著名。デシデリウス・エラスムス版新約本文第5版(1535)を主とし,アルカラ大学(→アルカラデエナレス)のヒメネス・デ・シスネロスの多国語対訳聖書(1514~17)をも参照して,ギリシア語新約聖書を刊行したが,1550年宮廷版 editio reginaといわれる第3版を出した。これは異文資料を添えた最初のものであって,イギリスにおける公認本文 Textus Receptusのもととなった。優れた古典学者でもあったステファヌスは,ウルガタ訳聖書に批判的な聖書注解を出したために,パリ大学神学部から非難されてジュネーブに逃れ,カルバン派(→カルバン主義)に改宗。1551年にさらに小冊 2部の新約本文を刊行したが,これにはパリからリヨンへウマで旅行した際に行なったと伝えられる章分けがされており,その章分けは今日なお用いられている。
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