スナビキソウ (砂引草)
Messerschmidia sibirica L.
海岸の砂地に生えるムラサキ科の多年草。スナビキソウという名のとおり,砂中に長い地下茎をのばし,群がって生える。茎はよく分枝し,高さ25~35cm。葉とともに圧着毛を密生する。葉は質厚く披針形またはへら形で鈍頭。花は茎頂のつまったかたつむり状花序につき白色。花冠は筒状で先端が5裂する。花期は6~7月(北日本では8月)。果実は楕円形で4稜があり,かたい。日本全土の海岸にやや普通に自生する。朝鮮,シベリア南部,中国北部,ヨーロッパに広く分布し,中国大陸では内陸性の塩性地にも生育する。スナビキソウ属Messerschmidiaは3種を含む小さな属で,熱帯に広く分布するTournefortia属に近いが,中果皮が汁質でない点で区別される。
執筆者:矢原 徹一
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スナビキソウ
すなびきそう / 砂引草
[学] Heliotropium japonicum A.Gray
Argusia sibirica (L.f.) Dandy
ムラサキ科(APG分類:ムラサキ科)の多年草。茎は高さ30~50センチメートル。葉は密に互生し、倒披針(とうひしん)形から長楕円(ちょうだえん)状披針形。5~8月、茎頂に白色で芯(しん)が黄色い、香りのある5弁花を密集して開く。海岸の砂地に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、中国北部、シベリア、ヨーロッパに分布する。名は、砂地で地下茎を伸ばすことによる。スナビキソウ属は、果実は核果で中に4個の小核がある。世界に3種あり、日本には2種分布する。
[高橋秀男 2021年7月16日]
かつてはスナビキソウ属とされていたが分子系統学的な研究によってコゴメスナビキソウ属と統合されキダチルリソウ属となった。この分類によると世界に300種ほどあり、日本には3種が自生する。
[編集部 2021年7月16日]
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スナビキソウ(砂引草)
スナビキソウ
Messerschmidia sibirica
ムラサキ科の多年草。アジア,ヨーロッパの温帯から暖帯に分布し,日本各地の海岸の砂地に生える。地下茎を長くはわせて繁殖する。茎は高さ 30~50cmほどで直立して多数に分枝し,葉とともに細かい毛をつける。葉は4~10cmの細いへら形で厚く,柄はない。夏に,枝先に集散花序をなして香りのあるクリーム色の小花を多数つける。和名は地下茎が砂中に長く伸びて繁殖することによる。
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「スナビキソウ」の意味・わかりやすい解説
スナビキソウ
北海道〜九州の海岸の砂地にはえるムラサキ科の多年草。全体に灰色の軟毛がある。茎は直立し,高さ30〜50cm,へら形で長さ5〜10cmのやや多肉の葉をつける。花穂は5〜8月,茎頂付近について分枝し,花は密につき,白色で径約8mm。砂中に長い根茎を引くためこの名がある。
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