スベリヒユ科(読み)スベリヒユか

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スベリヒユ科」の意味・わかりやすい解説

スベリヒユ科
スベリヒユか
Portulacaceae

双子葉植物アカザ目の1科。世界に広く分布するが,特に北アメリカと南アフリカに集中し,約 19属 500種が知られる。多くは一年草または多年草で多肉になるが,小低木になるものもある。葉は対生または互生し,茎と同様に多肉になることが多い。花は放射相称両性花で,普通,2個の萼片,5枚の花弁,多数のおしべ,そして子房からなる。子房は3~5個の心皮からなり,内部は1室で,2ないし多数の胚珠を含む。果実蒴果で,縦裂または横に裂開する。ヌマハコベ Montia,スベリヒユ Portulaca,ハゼラン Talinumなどの諸属が知られ,そのなかにはマツバボタン (松葉牡丹)など園芸植物として親しまれているものもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スベリヒユ科」の意味・わかりやすい解説

スベリヒユ科
すべりひゆか
[学] Portulacaceae

双子葉植物、離弁花類。多肉の草で、まれに小低木になる。葉は互生または対生する。托葉(たくよう)は膜質で、毛状になるものもある。花は両性で放射相称。花被片(かひへん)は4~5枚、花弁様で離生または基部が癒合する。雄しべも同数のものが多い。子房は上位。果実は膜質、2、3片縦に裂開するか、横に裂けて蓋(ふた)がとれる。種子は小形で多数ある。世界に19属約580種あり、おもにアメリカ大陸に分布する。日本にはスベリヒユ属とヌマハコベ属の2属各1種が分布する。南アメリカ原産のマツバボタンはスベリヒユ属で、多くの園芸品種がある。

[小林純子 2021年2月17日]

 APG分類でもスベリヒユ科とされる。分子系統学の研究によりスベリヒユ科からいくつかの属が分離し、最終的にはスベリヒユ属のみで構成されている。世界の熱帯から亜熱帯地域に1属約100種がある。

[編集部 2021年2月17日]

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