スマイルズ(読み)すまいるず(英語表記)Samuel Smiles

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スマイルズ」の意味・わかりやすい解説

スマイルズ
すまいるず
Samuel Smiles
(1812―1904)

イギリス著述家スコットランド生まれ。エジンバラ大学卒業後、外科医を開業。のち『リーズ・タイムズ』の編集や鉄道事業にかかわる。蒸気機関車の発明者G・スティーブンソンに出会い、その伝記を発表(1857)、好評を博した。マンチェスター学派の立場にたった政治・社会改革運動や労働者階級の知的社会的向上に熱意を示し、積極的に講演活動を行った。その結果が『自助論(セルフ・ヘルプ)』(1859。明治時代の邦訳名『西国(さいごく)立志編』)の公刊となって現れた。そこで強調されている自学、独立独行、誠実、節倹などの諸徳は多大の反響をよび、ビクトリア朝イギリスの一大啓蒙(けいもう)書となって、世界各国語に翻訳された。

西田 毅]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スマイルズ」の意味・わかりやすい解説

スマイルズ
Smiles, Samuel

[生]1812.12.23. ハディントン
[没]1904.4.16. ロンドン
スコットランド生まれのイギリスの著述家。エディンバラ大学医学を学び開業,のちリーズに移ってジャーナリズムに関係,ベンサムとミルの影響を受け物質的進歩を鼓吹した。主著はビクトリア朝的諸価値を称揚し,自立独学を奨励する『自助論』 Self-Help (1859) で,日本でも明治3~4 (1870~71) 年『西国立志編』 (中村敬宇訳) と題して翻訳され,記録的な売れ行きを示した。ほかに『キャラクター』 Character (1871) ,『義務』 Duty (1880) など。

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