セスジムシ(その他表記)Omoglymmius crassiusculus

改訂新版 世界大百科事典 「セスジムシ」の意味・わかりやすい解説

セスジムシ (背筋虫)
Omoglymmius crassiusculus

ヤマトセスジムシとも呼ばれる。甲虫目セスジムシ科の昆虫。体は暗褐色光沢がある。頭にY字形の溝があり,前胸背の3本の溝は前方までのびるが,中央の溝は前縁に達しない。各上翅には点刻列があり,肩部は前方へ強く突出する。体長7.5mm内外。北海道,本州に分布し,主として山地の立ち枯れたモミ,ツガなどの針葉樹の樹皮下に生息する。7~8月に樹皮下で交尾産卵幼虫朽木穿孔(せんこう)するが,肉食性で他の昆虫を捕食する。翌年の初夏のころ,朽木中で蛹化(ようか),次いで成虫になると考えられる。幼虫の胸脚は体に比して小さく,尾突起を欠く。セスジムシ科Rhysodidae(英名wrinkled bark beetle)はゴミムシ科などとともに食肉亜目に属するが,原始的な形態を維持していると考えられている。主として熱帯の森林に分布し,世界から約130種,日本からはトビイロセスジムシホソセスジムシチャイロセスジムシなど9種が記録されている。この科はいずれも枯木,朽木に生息する。成虫の触角は数珠状で,前胸背面には深い縦溝がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セスジムシ」の意味・わかりやすい解説

セスジムシ
せすじむし / 背条虫

昆虫綱甲虫目セスジムシ科Rhysodidaeに属する昆虫の総称。世界各地の森林地帯に分布し、およそ200種ほどが知られ、日本からは10種記録されている。小さく細形の堅い甲虫で、頭胸背面には深い縦溝があり、上ばねにも条溝か強い点刻列がある。触角は短く数珠(じゅず)状。色は赤褐から黒褐色、光沢がある。成虫も幼虫も朽ち木にすみ、動作は鈍い。日本で多いのはトビイロセスジムシRhysodes comesとホソセスジムシYamatosa niponensisで、いずれも朽ち木の皮下にみられるが、他の種は少ない。

[中根猛彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セスジムシ」の意味・わかりやすい解説

セスジムシ
Rhysodes crassiusculus

鞘翅目セスジムシ科。体長7~8mm。体は黒褐色,細長い円筒状で,頭部は小さく,Y字形の溝をもつ。触角は短くじゅず状で,複眼は突出する。前胸は長卵形で背面に3条溝がある。上翅はあらい点刻のある条溝をそなえ,両側はほぼ平行する。肢は短い。北海道,本州に産し,枯れ木の樹皮下に穿孔して生活する。なお,セスジムシ科 Rhysodidaeはゴミムシ科に近縁の小さな科で,日本産は約7種が知られているが,いずれもよく似ている。

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