改訂新版 世界大百科事典 「セトクレアセア」の意味・わかりやすい解説
セトクレアセア
Setcreasea pallida Rosa
ツユクサ科の常緑多年草。一般に広く栽培されているのは,園芸品種のパープル・ハートcv.Purple Heartである。1955年ころに渡来したが,寒さに強く,霜よけ程度で越冬するので,家庭にも普及している。葉はやや多肉質の長楕円形で,長さ8~12cmで,表裏ともに粉白を帯びた淡紫色となる。日陰では緑色が増して色がさえないが,強光下では濃紫色となり美しい。茎は多汁質で横にはう。古株になると茎が伸び,先端に短い苞葉をつけ,7~8月ごろ径2cmほどの淡紫桃色花が次々と咲くが,開花茎は節間も伸び,草姿も乱れる。根は太い多肉質で乾燥にも強いので,紫御殿の名で,栽培されることもある。花壇植えやつり鉢作りにも向く。株分けでもふやせるが,挿芽が簡単で,小鉢作りもできる。
セトクレアセア属Setcreaseaは北アメリカ南部から中央アメリカに数種が分布している。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報