日本大百科全書(ニッポニカ) 「セトダイ」の意味・わかりやすい解説
セトダイ
せとだい / 瀬戸鯛
broadbanded velvetchin
[学] Hapalogenys analis
硬骨魚綱スズキ目イサキ科に属する海水魚。三陸地方以南の太平洋沿岸、富山湾以南の日本海沿岸、東シナ海、朝鮮半島南部、黄海(こうかい)、台湾、シンガポール沿岸などに分布するが、沖縄県にはいない。体は高く、強く側扁(そくへん)する。上下両顎(りょうがく)には絨毛(じゅうもう)状歯があって、犬歯はない。下顎腹面には多数の小さいひげがある。下顎に4対の小孔(こあな)と一つの裂孔がある。背びれ棘条(きょくじょう)は三角形で、棘条と軟条部の間は深い欠刻(切れ込み)がある。背びれ起部の皮膚の下に1本の前向棘がある。尾びれの後縁は丸い。最大全長は約30センチメートルであるが、普通は20センチメートル。体は灰褐色で、体側に5条の幅広い濃灰褐色の横帯がある。背びれと臀(しり)びれの棘部の鰭膜(きまく)および腹びれは黒い。背びれと臀びれの軟条部と尾びれは黄色で、それらの縁辺は黒色帯で縁どられる。沿岸域にすみ、底生の無脊椎(むせきつい)動物や小魚を食べる。底引網、釣りなどによって漁獲される。煮つけなど家庭料理に用いられる。
[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年4月18日]