コショウダイ(読み)こしょうだい(その他表記)threebanded sweetlips

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コショウダイ」の意味・わかりやすい解説

コショウダイ
こしょうだい / 胡椒鯛
threebanded sweetlips
[学] Plectorhinchus cinctus

硬骨魚綱スズキ目イサキ科に属する海水魚。青森県以南の太平洋沿岸、新潟県以南の日本海沿岸、小笠原(おがさわら)諸島、東シナ海、屋久島(やくしま)、朝鮮半島、台湾、南シナ海、タイランド湾、オマーン湾などに分布する。南西諸島では少ない。体は楕円(だえん)形で、やや側扁(そくへん)する。体高は高く、体長は体高の2.5倍以下。吻(ふん)は短く、口唇は著しく厚い。上下両顎(りょうがく)には微小な円錐歯(えんすいし)がある。尾びれの後縁はまっすぐか、むしろ丸い。全長約60センチメートル。体は淡灰褐色で、体側に3条の幅広い弓状で紫青色の斜走帯があり、第1帯は背びれの前から胸びれへ、第2帯は背びれ棘(きょく)部基底から尾びれ基底へ、第3帯は背びれ軟条部基底に沿って走る。体背部から背びれと尾びれに黒褐色点が散在する。黒斑(こくはん)は幼魚では大きいが、成長するにつれて小さくなる。沿岸浅海の岩礁域に生息し、甲殻類などを食べる。5~6月ごろ産卵し、卵径は約0.8ミリメートル。幼魚は内湾の藻場(もば)や河口汽水域でもみられる。一本釣り、定置網刺網(さしあみ)などで漁獲される。多少の磯(いそ)臭さはあるが、肉は白身で、刺身塩焼き煮つけなどにすると美味である。近縁種に、体側に5条の暗色縦帯があるムスジコショウダイ全身に小黒点が散在するチョウチョウコショウダイ、背部の背びれ起部下と背びれ中央下に楕円形の大きな灰色斑紋(はんもん)があるアジアコショウダイなどがある。

[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年4月18日]


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改訂新版 世界大百科事典 「コショウダイ」の意味・わかりやすい解説

コショウダイ (胡椒鯛)
Plectorhynchus cinctus

スズキ目イサキ科の暖海性魚類で,南日本から東シナ海,南シナ海,スリランカ,紅海まで広く分布し,沿岸の岩礁域にすむ。東京都,神奈川県三崎,和歌山県和歌浦などではコショウダイと呼ぶが,千葉県小湊でオゴンダイ,和歌山県田辺や三重県二木島でカイグレ,和歌山県串本や愛媛県宇和島でコロダイ,富山県でコチダイ,宮崎県でトモモリなどと呼ぶ。本種は本属の他種(クロコショウダイ,アジアコショウダイ,コロダイなど)と同様成長に伴い体色,斑紋が著しく変化する。体長3cmくらいまでは全身が真っ黒で,尾びれと胸びれだけが白くなっている。成魚には淡灰色の体側に斜めに走る3本の太い紫灰色帯がある。体の背部,背びれ,尾びれには黒褐色の小斑点が散在しており,これがコショウの実を散らしたように見えるところからこの名がある。全長50cmに達する。産卵期は5~6月である。釣りや定置網,刺網で漁獲される。味はよいといわれ,刺身,塩焼きにされるが,漁獲量が少ない。
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百科事典マイペディア 「コショウダイ」の意味・わかりやすい解説

コショウダイ

イサキ科の魚。地方名コロダイ,コタイなど。体は淡灰褐色で体側に3本の紫灰色のしまが斜めに走る。全長50cmに達する。本州中部〜東南アジア,紅海にまで分布し,近海の岩礁にすむ。美味。近縁種にコロダイ(地方名シマカイグレ,キョウモドリなど),アジアコショウダイなどがあり,いずれも食用魚。

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