改訂新版 世界大百科事典 「セレン化水素」の意味・わかりやすい解説
セレン化水素 (セレンかすいそ)
hydrogen selenide
化学式H2Se。同族の硫化水素H2Sとよく似た無色で悪臭のある猛毒の気体。セレンとアルミニウム粉末をマグネシウムリボンの火を用いて反応させてセレン化アルミニウムとし,窒素気流中で水を滴下すると気体として発生する。塩化カルシウムと五酸化二リンで水分を除去した後,冷却して液化し,これを再び気化すれば純粋となる。ゴム栓,ゴム管を侵す。融点-65.7℃,沸点-41.3℃,比重2.12(-42℃)。4℃で1容の水に3.77容溶ける。二塩基酸で,酸解離指数pK1=3.72(25℃),pK2≅15。重金属塩の水溶液に通すとセレン化物の沈殿を生ずるので,セレン化合物製造に用いられる。セレン化水素およびその誘導体は猛毒であり,廃ガスはアルカリに完全に吸収させて処理する。
執筆者:漆山 秋雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報