日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼブラアナゴ」の意味・わかりやすい解説
ゼブラアナゴ
ぜぶらあなご / ゼブラ穴子
zebra garden eel
[学] Heteroconger polyzona
硬骨魚綱ウナギ目アナゴ科チンアナゴ亜科に属する海水魚。愛媛県愛南(あいなん)町付近の太平洋沿岸、沖縄県西表島(いりおもてじま)、フィリピン、インドネシア、パプア・ニューギニア、バヌアツなどの海域に分布する。ガーデンイールの一種で、左右の上唇の遊離縁は前端でつながり、前鼻孔(ぜんびこう)と感覚孔は遊離縁上に開くことで、チンアナゴと同じチンアナゴ属に属する。体は細長く、肛門(こうもん)は全長のおよそ前29~32%の位置に開く。頭はいくぶん長く、肛門前長(吻端(ふんたん)から肛門までの長さ)のおよそ19~23%。上下両顎(りょうがく)の歯は広い歯帯。鋤骨歯(じょこつし)(頭蓋(とうがい)床の最前端の骨にある歯)は前上顎骨歯(左右の主上顎骨の前端の間にあり、鋤骨歯の前に位置する歯。間(かん)上顎骨歯、前上顎骨・篩骨(しこつ)歯などともいう)とつながり、後方に向かっていくぶん狭くなる歯帯を形成する。肛門よりも前の側線孔は40~44個。背びれは鰓孔(さいこう)の直後から始まる。胸びれはない。体は白く、頭部と躯幹(くかん)部(胴部)には多数の狭い黒色の帯状斑(はん)があり、尾部に向かってだんだんと不明瞭(ふめいりょう)になり、不鮮明な黒点に変わる。帯状斑は頭部では背面にとどまり、躯幹部では1組が6帯からなる3組の帯状斑になり、これらは腹面で左右がつながる。鰓孔の直前に黒斑がある。最大全長は約35センチメートル。浅いサンゴ礁近く(フィリピンでは水深1.6~3.3メートル)、沿岸の傾斜地、湾内などの砂地に潜り、体の前半分ほどを出して水流に向かい流れてくるプランクトンなどを食べる。通常はコロニーを形成する。雌雄が25センチメートルほど離れたそれぞれの巣穴にいて、それぞれのつがいは隣のものと雌雄の間隔の3~4倍以上の間隔を保ってすんでいる。
[尼岡邦夫 2019年6月18日]