六訂版 家庭医学大全科 の解説
その他の真菌・カビ毒による食中毒
そのたのしんきん・カビどくによるしょくちゅうどく
Food poisoning due to other mycotoxins
(食中毒)
どんな食中毒か
アスペルギルス、ペニシリウム、フザリウム属のカビ以外が産生するカビ毒で食中毒を起こす場合がまれにあります。
ロリトレムは、わらなどについているカビが産生するカビ毒で、筋肉や神経に作用しますが、ヒトへの影響よりも動物への影響が問題となります。
ホモプシンおよびスポリデスミンは、光線過敏症を引き起こします。オーストラリア産のルービン豆には、アルカロイドとホモプシンの汚染が懸念されていたため、長い間輸入禁止になっていました。
ユーロチウム属はステリグマトシスチンを、モナスカス属(紅こうじカビ)はシトリニンを産生する場合があります。
症状の現れ方
貯蔵米で汚染の可能性があるステリグマトシスチンは、アフラトキシンに似た構造をもっているため、長期間摂取すると発がん性があるといわれています。しかし、日本のように温度、湿度が管理された貯蔵庫ではカビ毒産生の心配はありません。
麦角アルカロイドは、循環器系や神経系に毒性を示します。手足が燃えるような感覚を起こすことから、古代ヨーロッパで恐れられた食中毒でした。
シトリニンは、腎炎を起こすカビ毒であり、とくにアスペルギルス属やペニシリウム属が産生するオクラトキシンAと一緒に摂取した場合には、より強い腎への影響があることが、動物実験などで報告されています。
検査と診断
検査は、摂取した食品に疑われるカビ毒があるかを理化学的検査で調べます。
治療の方法
汚染している食品を、大量に継続して食べないことです。
予防のために
日本で規制値のあるカビ毒は、アフラトキシン、パツリン、デオキシニバレノールですから、それ以外のカビ毒に関しては、カビの生えている食品や不衛生な食品を摂取しない等を心がける必要があります。なお、カビを除去してもカビ毒は残っているので、注意が必要です。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報