日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイマツバナ」の意味・わかりやすい解説
タイマツバナ
たいまつばな / 松明花
[学] Monarda didyma L.
シソ科(APG分類:シソ科)の多年草。茎は断面が四角形で直立し、高さ0.5~1メートルに達する。葉は対生し、卵状披針(ひしん)形で長さ約15センチメートル。7~8月、茎上部に数個の花からなる頭状花序を開く。花色は緋紅(ひこう)色のほか白、桃、紫色などで、花冠は筒状で2唇に分かれ長さ4、5センチメートル、包葉は紅色を帯びる。この花の形を松明の火に見立てて、名がついた。属名のモナルダでよばれることもあり、観賞用として花壇に植える。北アメリカ原産の香料植物で、ミカン科のベルガモットと香りが似るため、ベルガモットとよばれることもある。近縁種にヤグルマハッカM. fistulosa L.があるが、これは前種より草丈がやや高く葉も短く、6~7月にキク科のヤグルマギクに似た花をつける。花色は桃色のほかに白、紫、紅色などがある。やや湿った日当りのよい庭の一隅などに、5~10株ほどをまとめて植え込むとよい。株分けは春秋の彼岸(ひがん)ころとするが、実生(みしょう)も可能である。
[神田敬二 2021年9月17日]