日本大百科全書(ニッポニカ) 「タケヤシ」の意味・わかりやすい解説
タケヤシ
たけやし
butterfly palm
[学] Dypsis lutescens (Wendl.) Beentje & Dransf.
Chrysalidocarpus lutescens Wendl.
Areca lutescens Bory
ヤシ科(APG分類:ヤシ科)アレカヤシ亜科タケヤシ属の代表種。マダガスカルの特産種。古くヨーロッパに観賞用として導入され、以来世界に広く普及した。俗にアレカヤシとよぶこともあるが、アレカヤシの代表種はビンロウジAreca catechu L.で、紛らわしい呼称である。幹は高さ8メートル、径7.5センチメートル、叢生(そうせい)またはよく分枝する。幹肌はつやのある暗緑色で、葉痕(ようこん)が鮮やかな環紋をつくる。葉は羽状全裂、長さ2メートルで光沢のある鮮緑色。小葉は披針(ひしん)形、長さ50~60センチメートル、幅2センチメートルで40~50枚あり、葉柄は60センチメートルと長く、葉鞘(ようしょう)部分にかけて多数の黒点がある。葉全体が外に曲がる性質がある。花は肉穂花序につき、雌雄同株の単性花。花柄は長さ80センチメートル、白色で芳香のある花をつける。雄花の雄しべは6本、花糸は細く葯(やく)は楕円(だえん)形。雌花は楕円形で、柱頭は三つに鋭く分裂する。果実は紫黒色、楕円形で長さ2センチメートル、種子は倒円錐(えんすい)形で長さ1.2センチメートル、胚(はい)は斜め下の横側にある。
繁殖は実生(みしょう)または株分けによる。栽培温度は最低3℃以上とする。
[佐竹利彦 2019年4月16日]