改訂新版 世界大百科事典 「タネーエフ」の意味・わかりやすい解説
タネーエフ
Sergei Ivanovich Taneev
生没年:1856-1915
ロシアの作曲家。チャイコフスキーに次ぐ世代では,最も尊敬されている。教養のある貴族の家に生まれ,5歳からピアノを学んだ。1866年,モスクワ音楽院開設と同時に入学し,ピアノをN.G.ルビンシテイン,作曲をチャイコフスキーに師事。師のあとを継いでモスクワ音楽院で教鞭をとり,ラフマニノフ,スクリャービンをはじめとする多くの弟子を育てた。ネーデルラント楽派以来の西欧の技法を深く研究し,同時に国民楽派の人たちとも親しく交わり,ロシア古典音楽の発展に著しい貢献をした。カンタータ《ヨアン・ダマスキン》(1884)やオペラ《オレスティア》(1894)のほか,交響曲や室内楽曲など多くの作品がある。著書《厳格書法による移動対位法》(1909)は今日までロシア楽派の基本的な理論書として広く読まれている。ピアニストとしても名声をはせ,多くのチャイコフスキーの作品の初演者としても知られている。
執筆者:森田 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報