スクリャービン(読み)すくりゃーびん(英語表記)Александр Николаевич Скрябин/Aleksandr Nikolaevich Skryabin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スクリャービン」の意味・わかりやすい解説

スクリャービン
Skryabin, Aleksandr

[生]1872.1.6. モスクワ
[没]1915.4.27. モスクワ
ロシアの作曲家。フルネーム Aleksandr Nikolayevich Skryabin。法律家の父とピアニストの母のもとに生まれた。1888年モスクワ音楽院ピアノ科に入学,ピアノを V.サフォノフに,作曲をセルゲイ・タニェエフとアントン・アレンスキー師事。1898~1903年モスクワ音楽院でピアノを教える。1905年パリに移る。同 1905年アルトゥール・ニキシュ指揮で『神聖な詩』初演。1906年アメリカ合衆国に渡り各地で演奏会を開く。ロシアに戻り 1910年セルゲイ・クーセビツキーとボルガ地方を演奏旅行し,1911年『プロメテウス』を初演。その後,ウィレム・メンゲルベルク,ヘンリー・ウッドらの援助のもとに世界的名声を博した。スクリャービンの和声法にはプロメテウス和音,または神秘和音と呼ばれる 4度の積み重ねでできた和音が使われている。作品はほかに,10曲のピアノ・ソナタ,『法悦の詩』などがある。(→ロシア音楽

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スクリャービン」の意味・わかりやすい解説

スクリャービン
すくりゃーびん
Александр Николаевич Скрябин/Aleksandr Nikolaevich Skryabin
(1872―1915)

ロシアの作曲家、ピアノ奏者。モスクワの貴族家系に生まれ、幼少よりピアノに親しんだ。個人的にピアノと作曲を学んだのち、モスクワ音楽院に入学。卒業(1892)後、著名な音楽出版業者ベリャーエフの知遇を受けて、作品の出版と西欧主要都市への演奏旅行を行う。一時母校で教鞭(きょうべん)をとったが、欧米諸国やロシア各地での自作演奏と創作活動に終始し、わずか43歳で没した。作曲家としてはショパンの影響下に出発したが、ニーチェ哲学、さらに神智(しんち)学に傾倒して以来神秘主義の独自の語法を確立、機能和声の枠を超えた20世紀の先駆的音世界をつくりあげた。後年には色、光、香りを加えた総合芸術も構想。10曲のソナタ(第5~10番は単一楽章制をとる)をはじめ、多数のピアノ小品とピアノ協奏曲1曲、『法悦の詩』(1905~08)や『プロメテウス――火の詩』(1908~10)などの管弦楽大作がある。

[益山典子]

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