ターゲティング広告(読み)ターゲティングコウコク(英語表記)Targeting Advertising

デジタル大辞泉 「ターゲティング広告」の意味・読み・例文・類語

ターゲティング‐こうこく〔‐クワウコク〕【ターゲティング広告】

targeting advertising》インターネット上の広告のうち、閲覧者に関する情報を利用して、それぞれに合った広告を配信するものの総称。行動ターゲティング広告検索連動型広告サイトターゲティング広告コンテンツ連動型広告などがある。ターゲット広告

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ターゲティング広告」の意味・わかりやすい解説

ターゲティング広告
たーげてぃんぐこうこく
Targeting Advertising

インターネット広告主流である広告手法。利用者が閲覧したサイト、検索履歴、購買履歴、全地球測位システムGPS)による位置情報などのデータを基に、統計学や心理学を駆使して性別、年齢、趣味などの人物像を推定し、嗜好(しこう)等に的(ターゲット)を絞った広告を配信する。たとえば車に興味のある利用者に新車の広告、旅行に関心をもつ人に旅行関連広告、ライブ会場を訪れたら音楽関連広告を配信する、といった手法をとる。行動ターゲティング広告、興味関心連動型広告ともよばれる。ターゲティング広告がクリックされる確率は、通常のバナー広告より高く、事業者は広告効率を高めることができるうえ、従来接触がむずかしかった潜在的な顧客を掘り起こす効果も期待できる。このためターゲティング広告の単価はターゲティング以外の広告の2~10倍に達し、ネット広告の8割強を占め、屋外広告などにも活用されるようになった。閲覧画面と関連の高い通常のターゲティング型のほか、検索ワードに関連した広告を宣伝する「リスティング(検索連動)型」、モバイル端末の位置情報に連動した「ジオターゲティング(位置情報連動)型」などがある。ターゲティング機能を基に、広告をクリックすると初めて広告主に課金される「クリック型」や、商品購入などの成果に報酬を払う「アフィリエイト型」といった多様な広告を生むことになった。日本では、2005年(平成17)にグーグル日本語版がターゲティング広告を開始して、その後、急成長し、2018年には市場規模が1兆円を超えた。

 一方で、ターゲティング広告に使われる購入履歴などは個人情報で、利用者が知らないうちにパソコンやスマートフォンを通じて事業者へ流れるのは、個人情報保護に抵触し、プライバシー侵害にあたるという問題も起きている。ヨーロッパ連合EU)が2018年、個人データの収集・処理からヨーロッパ域外への持ち出しまでを広範に規制し、企業に厳格な情報管理を求める一般データ保護規則(GDPR)を施行。日本の公正取引委員会も2019年(令和1)、IT企業を独占禁止法で規制する指針案を公表し、自動表示された広告を消費者の意思で表示できなくする対策づくりに取り組んでいる。

[矢野 武 2021年2月17日]

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知恵蔵 「ターゲティング広告」の解説

ターゲティング広告

対象となるユーザーやウェブサイトの特定のコンテンツに的を絞って広告を発信すること。
ターゲティング広告には、決められた広告枠にとらわれず、特定のユーザーに向けて広告を発信する「オーディエンスターゲティング」と、ウェブサイトやコンテンツを分類して、閲覧しているユーザーが、興味を持つ可能性の高い広告を表示する「コンテンツターゲティング」の二つに大別される。
さらに、オーディエンスターゲティングには、ユーザーの性別や年齢などの属性情報を利用して、広告を配信する「デモグラフィックターゲティング」、ユーザーの位置情報をもとに広告を配信する「ジオグラフィックターゲティング」、ユーザーのウェブサイトの閲覧履歴などを利用して広告を配信する「行動ターゲティング」などといったものがある。
デモグラフィックターゲティングでは、例えば、東京在住の30代女性にのみ、特定の広告を配信することができる。ジオグラフィックターゲティングでは、ユーザーが、特定のコンビニエンスストアに近づくと、コンビニエンスストアの商品情報をスマートフォンのアプリで受け取るようにするなどといったことができる。また、行動ターゲティングでは、ユーザーが、ウェブサイトを閲覧した履歴情報などを保存する「Cookie」と呼ばれる仕組みを使い、例えば、料理好きのユーザーが、料理レシピに関するウェブサイトを頻繁に閲覧していれば、ユーザーが現在閲覧しているウェブサイトの内容に関係なく、料理教室や食材の取り寄せに関する広告が表示できるようになる。
 なお、オーディエンスターゲティングでは、前述のように、ユーザーの属性や位置情報、閲覧履歴などといったオーディエンスデータと呼ばれるデータを利用しており、ユーザーの許可を得ずにユーザーが閲覧中のウェブサイトなどに広告を表示させたり、広告メールを送ったりすることになるが、2008年12月に施行された「特定電子メール法」や「特定商取引法」によって、ユーザーは、広告表示や配信を自由に停止することを意味する「オプトアウト(opt out)」ができるようになっている。
コンテンツターゲティングでは、オーディエンスデータを使用せず、手動または、システムを利用して、ウェブサイトやコンテンツの内容を分類するため、広告主は、分類情報をもとにして、広告の内容にあったウェブサイトに広告を出す。例えば、Google社が運営する「Google広告」では、広告主が広告を配信したいWebサイトを、キーワード単位で指定することができる。

(横田一輝 ICTディレクター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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