改訂新版 世界大百科事典 「タービン油」の意味・わかりやすい解説
タービン油 (タービンゆ)
turbine oil
水力タービンや蒸気タービンに用いられる潤滑油。タービンならびにこれに連結される発電機や送風機,推進機などの軸受の潤滑に用いられるほか,大型タービンにおいてはカップリングの潤滑,舶用タービンでは減速歯車の潤滑にも同時に用いられる。また,蒸気タービンでは作動流体である高温蒸気によって軸受や減速歯車が高温にさらされるが,この熱をタービン油が運び去り,冷却の役目もになっている。そのほか,タービン油は調速装置の油圧作動媒体として,また機械全体をさびから守るなどの働きも期待されている。このようなわけで,タービンの大型化,高速化の傾向とともに,タービン油に対する品質上の要求はますます厳しいものになりつつある。すなわち,タービン油はその用途にしたがって適切な粘度をもち,酸化安定性が高く長時間の高温使用に耐え,スラッジ生成が少なく,また水蒸気や水の混入によって乳化したり,泡立ちしたりすることのないことが望ましい。このような性能を実現するためには各種の添加剤を配合する必要があり,JISでは添加タービン油と無添加タービン油とを区分し,それぞれの特性を規定している。
執筆者:冨永 博夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報