ある液体のなかに,その液体とまじり合わないほかの液体を,小さな液滴として分散し,エマルション(乳濁液)をつくる操作または現象をさす.分散液滴がコロイド粒子のときをとくに乳濁という.液体を小さな液滴に分割すると,この液体の界面積はいちじるしく増大するため,界面張力が大きいほど乳化しにくい.界面張力が0のときはそのままで乳化する.これを自然乳化という.一般には,乳化剤を用いて界面張力を下げ,かくはん機,振とう機,音波,超音波などにより外部からエネルギーを加えて乳化する.このような装置をホモジナイザーという.エマルションは熱力学的には不安定な系であって,分散している個々の液滴はやがて融合(凝析)する.よい乳化状態を維持するためには,界面張力を低下させることと,液滴界面に保護膜をつくることの2点を考慮する必要がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…互いに混合しない油と水のような2液を混ぜて一方(分散相)を他方(連続相)の中に均一に分散させることを乳化というが,通常は2液の界面面積が大きくなるため,界面エネルギーが著しく増大し安定な乳濁液(エマルジョン)として存在することはできない。たとえば,油を水に加えて激しくかくはん(攪拌)すれば一時的な分散状態をつくり出すことはできるが,すぐ元の2液相に分離してしまう。…
※「乳化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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