日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダゴベルト」の意味・わかりやすい解説
ダゴベルト(1世)
だごべると
Dagobert Ⅰ
(?―639)
メロビング朝のフランク国王(在位629~639)。フランク国王クロタール1世の子で、父王の生前からアウストラシア分国王(在位623~639)に任ぜられた。629年父王の死により即位。フランク王国を再統一し、居所をメッツからパリに移した。ビザンティン帝国やランゴバルド王国と同盟を結び、西ゴート王国の王位争いに介入し、ブルターニュ人を服属させるなど、フランク国王の名声を内外に高めたが、その強引な集権化政策は、アウストラシア豪族層の反発を買い、息子のジギベルト3世をアウストラシア分国王に任命して、アウストラシアの自立性を大幅に認めねばならなかった。彼はまたキリスト教の布教活動を保護し、治世中に多くの修道院が建立された。
[平城照介]