日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダッラピッコラ」の意味・わかりやすい解説
ダッラピッコラ
だっらぴっこら
Luigi Dallapiccola
(1904―1975)
イタリアの作曲家。フィレンツェのケルビーニ音楽院で学び、1934~67年同音楽院でピアノを教えた。彼はイタリアにおける十二音技法作曲のパイオニア的存在であり、1930年代の中ごろから新ウィーン楽派の影響の下に十二音技法による作品を書き始め、高声と室内楽のための『三つの賛歌』(1936~37)、サン・テグジュペリによるオペラ『夜間飛行』(1937~39)などを発表した。ついで作曲された合唱と小合奏のための『囚(とら)われの歌』(1938~41)、オペラ『囚われ人』(1944~48)は、当時のファシズムの圧制に対する抵抗と告発の音楽であり、この精神は、後の合唱と管弦楽のための『解放の歌』(1951~55)へと受け継がれる。彼はこれらの作品を通して、十二音技法をしだいに組織的に用いるようになるが、その用法にはメロディー重視というイタリア・ベルカントの伝統に基づく彼独自の個性がみられる。ほかに宗教劇『ヨブ』(1950)、ホメロスによるオペラ『オデュッセウス』(1960~68)など。
[寺田由美子]