日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨブ」の意味・わかりやすい解説
ヨブ
よぶ
'îyôbh ヘブライ語
Job 英語
『旧約聖書』の「ヨブ記」の主人公。旧約の「エゼキエル書」によれば、彼はノアおよびダニエルと並ぶ3人の義人の代表者に数えられる(14章14、20節)。そして「ヨブ記」において、彼は義人であったが、サタンの試みにあい、すべての財産、家庭および健康を失い、自己の生を呪(のろ)う。これに対しヨブの友人たちは、彼の不幸が罪の結果であり、彼に悔い改めを忠告する。しかし彼は、友人の、応報観に根ざした常識的な説得にいっそう苦悩し、神の義がどこにあるかを模索する。このような苦悩は、亡国離散の民ユダヤ人のそれを反映する。
[定形日佐雄]
『中沢洽樹著『ヨブ記のモチーフ』(1978・山本書店)』