改訂新版 世界大百科事典 「ダビディア」の意味・わかりやすい解説
ダビディア
dove tree
handkerchief tree
Davidia involucrata Baill.
ダビディア科の落葉高木。中国西南部の標高2000m付近の山地に分布し,樹高15~20mになる。葉は互生し,葉身は長さ8~14cmの広卵形で,縁にややあらい鋸歯があり,葉裏に淡黄色の毛が密生する。葉柄は4~5cm。多数の雄花と1個の両性花が径約2cmの頭状花序をつくる。花には花被がなく,雄花のおしべはふつう5~6本で,両性花では15~25本の短いおしべが子房の上にあり,花柱は太く,短く,先端が6~8裂する。花序の基部には2~3枚の長さ8~16cmの卵形をした淡黄白色の苞があり,美しく目だつ。石果(核果)は長卵形で,長さ3~4cm,紫緑色に熟し,中に3~5個の種子がある。花序をつつみ垂れさがる大型の苞が花びらのようにみえて美しく,ハンカチノキともいう。庭園樹木として欧米で用いられるが,日本で植えられていることは少ない。化石が発見されていることから,かつては日本にも分布していたらしい。現在では中国だけに野生がみられ,最初の発見者Arman Davidを記念して命名された。1属1種でダビディア科をつくる。類縁には問題があり,ヌマミズキ科に含められたり,マタタビ科に近縁とする説がある。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報